Project プロジェクトストーリー

県内小学校 第2期建替工事

Vol2.難関工事を「段取り力」で成功へ

Prologue

第2期始動、技術を受け継ぐ小学校建替工事

202211月、子どもたちの声が響く真新しい小学校の敷地内で、建替工事の第2期がスタートした。これから建てる棟は、1階に児童昇降口、校長室や保健室、PTA室などの特別教室、2階に20.7m×16.5mのフリースペースと図工室が入り、3階が音楽室と渡り廊下になる。この工事の完成にて、長きにわたる建替工事が完成を迎えることになる。施工管理を担当するのは、1期工事から続投する2人と、新しく加わった若手の2人。新たな工法にも挑戦しながら、現場のノウハウを若手へと受け継ぐ施工管理者たちの姿を追いかける。

Member

  • 現場所長

    前田 義行

  • INTERVIEW

    現場主任

    奥村 平

  • 現場職員

    西田 光杜

  • 現場職員 塚原 真緒

    現場職員

    塚原 真緒

Outline

◆ 初のPC梁工事に向け入念な準備

初のPC梁工事に向け入念な準備

2023年6月、工事現場に組まれた足場の上で、奥村は愛知から招いた専門業者と入念な確認作業を行っていた。彼らが立っている場所は、新しい棟の2階にできるフリースペースの天井にあたる部分。柱のない大空間を実現するために、スパンの長いコンクリート梁を作る工事の真っ只中だ。今回用いるPC梁工法は、コンクリート梁の中にパイプを埋め込んでワイヤーを通し、梁のひび割れやたわみを防ぐ特殊な工法。梁の型枠の中に配置されたパイプの位置を何度も確認し、慎重に調整する奥村。その真剣な眼差しに、この工程を絶対にミス無く成功させるという強い思いがこもっている。

専門業者も驚いたスムーズな施工

専門業者も驚いたスムーズな施工

2ヶ月後の8月、しっかりと固まったコンクリート梁の下に再び、奥村ら施工管理者とPC梁工事の専門業者が集まった。この日は、梁の中に通したワイヤーを機械で牽引し、モルタルで固定する作業の日。簡単にはやり直しの効かない、この工事全体の中で一番の山場となる作業だ。奥村たちが固唾をのんで見守る中、レッカーで吊り上げた機械が音を立てて、ワイヤーを引っ張り固定した。2本の梁に埋め込まれた合計8本のワイヤーが、次々と巻き取られてゆく。奥村たちの心配をよそに、1日かかる予定の作業が半日で完了。数々の現場経験のある専門業者が「こんなにスムーズな現場は珍しい」と驚くほどの大成功だった。その後、パイプの中にモルタルを詰めてワイヤーを固定する作業も無事終えて、大空間を支える丈夫なPC梁が完成した。

工事を成功に導いた「段取り力」

工事を成功に導いた「段取り力」

「PC梁工法を担当するのは初めてなので、全部の作業が終わるまでは、パイプの中にコンクリートが漏れていてワイヤーが引っ張れなかったらどうしよう、などさまざまな心配をしていました。すべてが計画どおりに進んで、本当にほっとしています」と語る奥村。当日の作業がスムーズに進んだ背景には、奥村の極めて計画的な段取りがあった。「敷地が非常に狭い現場なので、この日は他の作業をストップし、誰も現場に出入りしないようにスケジュールを調整しておきました。資材の搬入も事前に止めて、工事車両が自由に動くスペースを確保できたので、作業がスムーズに進んだのだと思います」と振り返る。工事全体が遅れないように、PC梁工事の日程をお盆休みの直前に設定したことも奏功した。最大の山場を越えて、すっきりとした気持でお盆を迎えることができたと奥村は笑顔を見せる。

冬の悪天候を前に、仕上げへ全力

冬の悪天候を前に、仕上げへ全力

最大の難関であったPC梁工事を無事に終えて、工期は残すところ半年となった。建物の骨組みをつくる躯体工事が完了し、内装や外構など仕上げ工事に取り掛かる。新校舎や体育館と連結させる工事の際は、子どもたちの学校生活に支障がないよう、細心の注意を払った。残る課題は、これから迎える冬の悪天候をどう乗り切るかだ。大雪で工事車両が入れない、雨でコンクリートが打設できない、寒さで塗料が乾かないなど、冬の工事は天候との戦いだ。この現場で冬を迎えるのは、1期工事から数えて3年目。「どんな天候になってもいつもどおり、最善の段取りを考えて乗り切るだけです」という奥村。1月末の引き渡しに向けて、今日も着々と工事が進んでいる。

Vol2.難関工事を「段取り力」で成功へ_end

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