県内小学校 第2期建替工事
Vol1.大スパン構造を実現する、特殊工法に挑め!
Prologue
第2期始動、技術を受け継ぐ小学校建替工事
2022年11月、子どもたちの声が響く真新しい小学校の敷地内で、建替工事の第2期がスタートした。これから建てる棟は、1階に児童昇降口、校長室や保健室、PTA室などの特別教室、2階に20.7m×16.5mのフリースペースと図工室が入り、3階が音楽室と渡り廊下になる。この工事の完成にて、長きにわたる建替工事が完成を迎えることになる。施工管理を担当するのは、1期工事から続投する2人と、新しく加わった若手の2人。新たな工法にも挑戦しながら、現場のノウハウを若手へと受け継ぐ施工管理者たちの姿を追いかける。
Member
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現場所長
前田 義行
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INTERVIEW
現場主任
奥村 平
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現場職員
西田 光杜
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現場職員
塚原 真緒
Outline
新校舎と体育館をつなぎいよいよ完成へ
富山市内で、2022年に完成した小学校の新校舎。真新しい校舎のすぐ隣で、第2期の工事が始まった。第1期工事のときから敷地の狭さが作業のネックになっていたこの現場。現場主任を務める奥村平は「新しくつくる建物の足場が、先に完成した新校舎にくっついてしまいそうなくらいギリギリの狭さです」と苦笑する。新校舎に傷をつけないように細心の注意を払いながら、新校舎と既存の体育館をつなぐ、第2期棟の建設が行われている。
鉄筋工事のエキスパートを目指せ
奥村は現場所長の前田と共に、第1期のこの小学校建替工事を担当してきた。続投工事を新規受注することが決まったとき、奥村はある決意をしたという。それは、施工管理者として社内で誰にも負けないくらい、鉄筋工事に詳しくなることだ。「鉄筋コンクリート造の建物は、鉄骨造の建物に比べて案件数が少なく、社内でも担当する機会が限られています。鉄筋コンクリート造の現場を引き続き担当させてもらえるのは、またとない機会。ここで得られる経験を、大事にしたいと思います」と語る。
PC梁工法で、柱のない大空間を実現
今回の工事の最大の特徴は、建物の2階にフリースペースとして柱のない大空間を作るために、PC梁と呼ばれる特殊な工法を用いる点だ。フリースペースの広さは教室約3つ分。コンクリート製の梁の中に内蔵されたワイヤーを両脇からバネで引っ張ることで、梁が下がってひび割れることを防ぐ。同社ではこれまでに、体育館の建設工事などでPC梁の施工実績があるが、奥村が担当するのは初めてだ。施工業者と何度も打ち合わせを重ねながら、全国で起きた失敗事例も調べるなど、事前準備に余念がない。現場でコンクリートを打設するPC梁は、やり直しのきかない一発勝負。事前にできる限りの準備をして、施工に挑む計画だ。
技術とノウハウを次世代へ。後輩育成にかける思い
工事を無事に終わらせることに加えてもうひとつ、奥村が今回の現場で大切にしたいと考えているのが、今後現場を任される若手に施工管理のノウハウを伝えることだ。この現場のメンバーは、所長と奥村の他に、入社5年目と入社1年目の若手社員2人がいる。彼らが将来、一人で現場を担当しても困ることがないように、自分や所長がフォローできるこの現場でさまざまな経験を積んでほしいと考えている。「自分でやったほうが早い仕事でも、若手に経験してもらうことが大切だと思うので、役割分担表を作りました。いろんな失敗を経験しながら、仕事のやり方や、やるべき事をひとつひとつ覚えてもらえればと思います」と語る奥村。奥村自身、所長の前田から学びたいことが、まだまだたくさんあるという。
タカノ建設では数年前から、業務のマニュアル化に全社をあげて取り組んでいる。しかし、業務の幅が広く、人との関わりも多い施工管理の仕事には、現場でしか伝えられないことも多い。先輩から、後輩へ。マニュアルだけでは伝えきれない技術とノウハウが、世代を超えて受け継がれてゆく。